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Research
in New Zealand

ニュージーランドと日本の防災比較研究
:現地調査とインタビュー調査による文化的背景からの分析

A Comparative Study of Disaster Preparedness in New Zealand and Japan :An Analysis of Cultual Backgrounds Based on Fieldwork and Interviwes

⒈要旨 Abstract

本研究は、地震多発国であるニュージーランドと日本の防災意識や両国における防災対策の現状、教訓の活かし方の違いを比較し、相互に学べる点を探ることを目的とする。ニュージーランド滞在中に、Quake City博物館や国立慰霊碑の訪問、学校や地域の人々、ホームステイの方々への聞き取り、アンケート調査を行う。得られた結果を日本の事例と比較し、防災意識の差異や背景を分析する。また、日本で開発した防災アプリを英語版に改良し、両国の知見を融合させた国際的な防災啓発方法を提案する。

⒉序論 Introduction

⑴ 背景 the background of this research
私は中学校に入学するタイミングで福島県から静岡県に移住してきた。その中で私は地域事による防災意識の差が大きくある事を感じた。私が生まれ育った福島県では防災意識が凄く高い状態だった。ですが移住してきた静岡県では防災訓練の回数が少なく黙祷も行っていなかった。そして高校生になり個人研究が始まり日本の防災意識向上について個人研究を始めた。最初私は日本の防災意識について研究を始めた。最初に、政府が公開している情報やネット記事で情報収集を開始した。そして、グーグルの検索数や防災化学研究所などを訪問し今までの防災の歴史や対策を学んだ。そして調査を行った結果、日本の防災対策技術は世界トップクラスである事がわかると同時に国民自体の防災意識はまだまだ低い事が分かった。そして防災意識は地域差だけでなく年齢も関係している事が分かり特に若者が防災意識が低いことが分かり国民一人一人の防災意識を高める為に出来る事を模索した。そんな中、若者に防災の重要性を伝えるにあたりいくつかの条件を満たす必要があった。それが、誰でも見れる物。いつでも見れる物。そして若者に見てもらえやすい物。この3つの条件を考えた結果、防災啓発のWEBアプリを創る事に決めました。現在は開発以外にも若年層に向けたInstagaram投稿による防災啓発や募金事業、AR開発などを行っている。
これらの研究を続けていく中で、私は次第に世界の防災対策はどのようになっているのか気になっていく様になっていきました。海外の人々はどのような防災技術が存在し日常の中でどの様に防災を根付かせているのかが気になった。災害の種類や頻度、文化背景が異なる国では、防災の捉え方や伝え方も大きく違うはずである。そこで私は、自らの研究視点を広げ現地の防災文化や教育方法、教訓の活かし方を直接学び日本と比較し日本の防災意識を向上させる為にニュージーランドに渡った。

⑵ 研究課題 Research Questions

  • 両国の防災意識の違いを明らかにする。

  • 防災教育の方法を比較し効果的な要素を抽出する。

  • カンタベリー地震の経験がニュージーランド市民意識に与えた影響を調べる。

  • 博物館や国立慰霊碑が記憶継承•教育に果たす役割を分析する。

  • 学校教員・学生・ホームステイなどの聞き取りを実施し防災意識の背景を探る。

⑶ 目的 Purpose of the study
ニュージーランドと日本における地震防災意識と教育方法の違いを明らかにし、両国の強みを融合させた国際的な防災啓発方法を模索する事。
⑷ 意義
本研究は両国の文化や経験の違いが防災意識に与える影響について新たな知見を明らかにする点に学術的意義がある。また、得られた成果をもとに防災啓発アプリを英語版として改良・公開することで、国内外の防災意識向上に寄与するという社会的意義も期待される。さらに、留学中の現地調査を通じて、博物館や慰霊碑、学校や地域の人々への聞き取りなど、文献だけでは得られない一次情報を取得する経験は、個人的な学びや視野の拡大にもつながる。

⒊文献レビュー Literature Review

文献レビューでは日本とニュージーランドの環境を比較する。

⑴ 関連研究のレビュー

JAMSTEC BASE 日本海洋開発機構による記事による結果では

ニュージーランドは日本と様々な共通点が存在する。

南半球の島国であるニュージーランドは、日本と様々な共通点があります。ほぼ同じ緯度に位置するため気候や風土が似ているという点に加えて、ニュージーランドは日本と同様の地震国でもあります。と示されている。日本と同様プレート境界に位置しているニュージーランド

ニュージーランドはプレート境界に位置しており過去には大きな地震が数多く発生してきました。2011年2月には南島のクライストチャーチの直下を震源とするマグニチュード6.1の地震、2016年11月には同じく南島のカイコウラでマグニチュード7.8の地震がそれぞれ発生し甚大な被害がもたらされました。と示されている。

NTTファシリティーズ 第1回NZの地震環境とカンタベリー地震の概要による結果では

ニュージーランドは、日本と同じように直下でプレートが沈み込んでいるため、比較的高い頻度で地震が発生しています。地震のタイプも日本と同じように大きくはプレート境界型と内陸活断層タイプの2つのタイプに分類されます。と示されている。

課題のまとめ

今回の関連研究レビューで日本とニュージーランドは同じく地震国であり地震環境も似ていることが分かった。それと同時に

⒋方法 Methodology

研究デザイン
本研究では、日本とニュージーランドにおける防災意識の違いを明らかにするため現地調査とインタビュー調査を採用した。
⑴研究対象
現地調査

  • 本研究では、クライストチャーチ市中心部及び周辺の震災遺構、並びにQuake City博物館とカンタベリー地震国立慰霊碑を調査対象とした。

インタビュー調査

  • 本研究では、私の留学先ChristchurchBoysHighSchoolの教員3名と私のホームステイ先2名Quake City博物館の職員一名を調査対象とする。

    ⑵データ収集方法

  • 現地調査のデータ収集方法

  • 本研究では町中心部の被害の痕跡や国立記念碑、博物館での展示内容を記録し来場する年代などを調査した。

  • インタビュー調査のインタビュー方法

  • インタビュー調査は、2025年8月に実施しインタビューは英語で行い、すべて音声で記録した。録音データは後日文字起こしを行い、分析に用いた。文字起こしデータは付録(Appendix A–C)に掲載している。

    ⑶質問事項

  • 災害全般について

  • ニュージーランドでどのような自然災害が一番多いですか? What kind of natural disasters are the most common in New Zealand?

  • 日本とニュージーランドの防災意識の違いはあると思いますか? Are there any differences in disaster awareness between Japan and New Zealand?

  • 災害に備えるために、ニュージーランドの人々はどのようなことを普段から行っていますか? What do people in New Zealand usually do to prepare for disasters?

  • 平均で年に何回災害が起きますか?

  • How many disasters a year do you have on average?

  • 防災教育について

  • 学校での防災教育はどのように行われていますか? How is disaster education conducted in schools?

  • CBHSは年に何回防災訓練が行われていますか? What is important for raising disaster awareness among children and young people?

  • 年にHow many times a year does this school hold disaster drills?

  • ニュージーランドではあなたが特殊だと考える防災教育が存在しますか? Is there any disaster education in NZ that you consider special?

  • 個人的な体験について

  • あなたはニュージーランドでどんな災害を経験しましたか? What kind of disasters have you experienced in New Zealand?

  • その時に一番大変だったことは何ですか? What was the most difficult part during that disaster?

  • 災害を経験したことで、防災に対する考え方はどのように変わりましたか? How did experiencing a disaster change your way of thinking about disaster preparedness?

  • 1. 防災意識の違いを明らかにする

  • 自然災害に備えて普段から行っていることはありますか? Do you do anything regularly to prepare for natural disasters?

  • 家に防災バックは持っていますか?

  • Do you have emergency bag at home?

  • 災害が起きた時にまずあなたはどうしますか? When happen the disaster What is your first step?

  • 日本と比べて、ニュージーランドの人々の防災意識は高いと思いますか? Do you think people in New Zealand have higher disaster awareness compared to Japan?

  • 3. カンタベリー地震の影響

  • 2011年のカンタベリー地震を経験しましたか? Did you experience the Canterbury Earthquake in 2011?

  • その経験は防災意識や日常生活にどのような影響を与えましたか? How did that experience affect your disaster awareness and daily life?

  • 今も地震のことを意識することはありますか? Do you still think about earthquakes today?

  • 4. 博物館や国立慰霊碑の役割

  • 記憶を次世代に伝える上で、どんな役割を果たしていると思いますか? What role do you think these places play in passing on memory to future generations?

  • 5. 教員・学生・ホストファミリーへの質問

  • 普段の生活の中で、防災について子どもや家族と話すことはありますか? Do you talk about disaster preparedness with children or family in daily life?

  • 学校や家庭での受けた防災教育で覚えていることはありますか? What differences do you notice between disaster education at school and at home?

  • NZの人々は防災意識が高いと考えますか? Do you think people in NZ are highly aware of disaster prevention?

  • NZの学校はもっと防災教育をするべきだと考えますか?Do you think school in NZ should more disaster prevention education?

    調査手順・現地調査の様子
    調査は2025年8月に実施され市街の震災遺構を徒歩で巡回し位置や保存状態を記録し実際に住んでいる先生や住民に話を聞いた。
    データ分析方法・手順
    文字起こししたデータを、災害経験、防災意識、防災教育、防災行動、日本との比較というテーマに分類し、内容分析を行った。
    現地調査

  • 撮影した写真と観察メモを展示の特徴を整理した。

  • インタビュー調査

  • インタビュー回答はテーマ事に整理し防災意識に関する傾向を抽出した。

⒌結果 Results

⑴現地調査の結果  Field Observation
本研究の現地調査は、ニュージーランド・クライストチャーチ市内における都市空間、慰霊碑、博物館(Quake City)、および歴史的建造物の観察を通して実施された。その結果、この都市では災害の記憶が日常生活の中に組み込まれ、防災意識が「維持され続ける構造」が形成されていることが明らかになった。
 
⑵ クライストチャーチ中心部における国立慰霊碑の立地と役割
クライストチャーチ中心部の川沿い、人通りの多い都市空間には、カンタベリー地震国立慰霊碑が設置されている。この場所は、本来であれば商業施設や開発によって高い経済的利益を生み出す可能性がある土地であるにもかかわらず、都市の最も目立つ位置に慰霊碑が設けられている。
現地観察によると、この慰霊碑は市民や観光客が日常的に行き交う動線上に位置しており、多くの人々が日々その前を通過し、自然に目にする環境が形成されていた。このことにより、慰霊碑は単なる記念施設としてではなく、日常生活の中で災害の記憶と向き合う装置として機能している様子が確認された。
(図1:クライストチャーチ中心部の川沿いに設置されたカンタベリー地震国立慰霊碑)

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⑶災害リスクと都市構造としてのクライストチャーチ
現地調査およびインタビュー調査から、クライストチャーチは河川が多く、洪水が発生しやすい都市であることが確認された。都市内部には複数の川が流れており、水害のリスクが地理的に内在している。
さらに、都市の中心部には国立慰霊碑が存在し、それを軸として災害の記憶が都市空間の中に組み込まれている。また、QUAKECITY博物館のように、子どもから大人まで幅広い世代が災害について学ぶことができる施設が都市内に設置されており、災害に関する学習環境が物理的に都市の中に存在していることが観察された。
これらの要素から、クライストチャーチは災害リスクを抱える都市であると同時に、災害に関する情報や記憶が市内の複数の場所で可視化されている都市であることが確認された。
(図2:クライストチャーチ市内の河川と周辺の都市景観)

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⑸マオリ文化と災害に関する認識
ニュージーランドの先住民族であるマオリ族の伝統においては、**ルアウモコ(Rūaumoko)**と呼ばれる地震と火山の神が存在し、その動きが地震や火山活動を引き起こすと信じられてきた。QUAKECITY博物館においても、この神話が紹介されており、災害が単なる自然現象ではなく、文化的・精神的な意味を持つものとして語られていることが確認された。
このようなマオリの自然観は、災害を人間が完全に制御できるものではなく、自然と共存する中で理解すべきものとして捉える視点を提供している。
(図4:QUAKECITY博物館に展示されていたルアウモコに関する解説)

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⑹QUAKECITY博物館における災害の可視化
QUAKECITY博物館では、ニュージーランドの地震の歴史やカンタベリー地震の被害が、さまざまな展示を通して紹介されていた。特に、地震で破壊された煙突や鐘などの実物資料が展示されており、災害の臨場感と被害の深刻さを視覚的に伝える工夫がなされていた。
また、悲惨な被害を伝える展示と並行して、若年層が楽しみながら学べる体験型ブースも多数設けられており、災害を過去の出来事としてだけでなく、現在と未来に関わるものとして理解させる空間が構成されていた。博物館の職員によれば、来館者の中心は50〜60代であるものの、若年層の来場も一定数確認されている。
(図5:QUAKECITY博物館に展示されている地震被害の実物資料)

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⑴インタビュー調査結果
⑵ニュージーランドにおける災害の種類と頻度
Mr. Call と Mr. Waller の証言から、ニュージーランドでは地震と洪水が最も代表的な自然災害であることが確認された。
Mr. Call は、
 
“The most common disasters are earthquakes and floods.”
と述べ、さらに
 
“We average 1 major flood per year and several smaller earthquakes.”
と具体的な頻度を示している。
これは、ニュージーランドの災害が「まれな異常事態」ではなく、ほぼ毎年発生する日常的リスクであることを意味する。
Mr. Waller も洪水や地震、火山活動が繰り返し起きていると述べており、両者の証言は、クライストチャーチが常に複数の災害リスクを抱えた地域であることを裏付けている。
⑶日本とニュージーランドの災害意識の比較
両者は、日本の方がニュージーランドよりも防災意識と準備が進んでいると評価している。
Mr. Call は、
 
“Japan is much more prepared for earthquakes but New Zealand has started to improve its preparation since the 2011 earthquakes.”
と述べ、日本の方が制度・行動の両面で進んでいることを示している。
さらに、
 
“I think Japan is better prepared than NZ.”
と明言しており、日本を比較基準としてニュージーランドの課題を捉えていることが分かる。
Mr. Waller も、日本は地震が頻発するため社会全体の意識が高いと述べており、災害の経験の蓄積が文化的な警戒心を生んでいるという点で一致している。
⑷ 個人レベルの防災行動
ニュージーランドでは、公的な警報システムと個人の備えが防災の中心となっている。
Mr. Call は、
 
“There is a mobile disaster warning system that sends the alert to your phone…”
と述べ、スマートフォンを通じた即時警報が重要な役割を果たしていることを示している。
一方で、自身の備えについては、
 
“I do now but I was not prepared in 2011.”
と語っており、大災害を経験して初めて備えるようになったことが分かる。
Mr. Waller も緊急パックを備えているが、友人の多くはそうしていないと述べており、個人の備えが必ずしも社会全体に浸透していないことが浮き彫りになる。
⑸学校における防災教育
制度上、ニュージーランドの学校では複数の災害を想定した訓練が行われている。
Mr. Call は、
 
“All schools rehearse for fire, earthquake and for a dangerous intruder.”
と述べ、学校が多様なリスクを想定していることを示している。
しかし実施頻度は
 
“2 times per year.”
にとどまり、必ずしも継続的な訓練とは言えない。
Mr. Waller はさらに踏み込み、高校では防災教育が小学校よりも少なく、地震訓練もほとんど行われていないと述べている。
つまり、制度上は存在していても、成長するほど防災教育が薄れていく構造的問題が存在していることが示唆される。
⑹ 2011年クライストチャーチ地震の影響
Mr. Call は2011年の地震を実際に経験しており、その影響について、
 
“It made me understand that I must be prepared…”
と述べている。
これは、地震が単なる自然現象ではなく、人生の行動原理を変える出来事であったことを示している。
Mr. Waller も建物被害や道路の浸水を体験しており、両者の証言から、この地震が地域社会全体の価値観を変えたことが読み取れる。
⑺災害時の困難と課題
Mr. Call が最も困難だった点として挙げたのは通信の遮断である。
 
“Not being able to contact family because the phone system was overloaded.”
この証言は、災害時における不安の最大要因が「情報の断絶」であることを示している。
物理的な被害だけでなく、家族の安否を確認できない心理的ストレスが災害の深刻さを増幅させていることが分かる。
⑻防災教育と社会への提言
若者への防災啓発について、Mr. Call は、
 
“Young people love their phones so keep reminders on popular social networks.”
と述べ、現代の若者の生活様式に合わせた防災情報の届け方が重要であると指摘している。
一方、Mr. Waller は高校の時間割が非常に過密であるため、防災教育を十分に行う時間が確保されていないという現実を問題視している。彼によれば、防災は重要だと分かっていても、試験科目や進学指導が優先され、結果として後回しにされている。
これは、ニュージーランドの防災教育が「重要だが制度的に弱い」立場に置かれていることを示しており、若者の防災意識を高めるためには、カリキュラムの中により明確に組み込む必要があることを意味して
⑹現地調査結果の要約
現地調査を通じて、クライストチャーチでは、都市空間、歴史的建造物、博物館、記念碑といった複数の要素が組み合わさり、災害の記憶と防災意識が日常的に可視化されている状況が確認された。

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